トラブル・シューティング <Q16−1> DATSUN FREEWAY 

                 ・・・・・ Parts 1 ・・・・・・
 (平成30年4月記)


 <作業> ・・・ Z32(300ZX)NA車のカムカバー・オイル漏れの作業を紹介。
          (今回の作業は、2回目となります。1回目も当社)

          走行距離16万kmです。 前回は約9万kmでタイベル交換とカム
          カバーからのオイル漏れを修理しました。 平成5年車 

          ここでは、インテーク・マニホールドの洗浄状態(理由)や、表面の
          傷みを化粧する方法など、記録します。



 <解説> ・・・ インテーク・マニホールドは、ターボもNAも年式も無関係に内部がオイル
          で汚れています。 またその表面も経年の劣化や汚れが付着しています。

          オイル汚れの理由や、表面の処理・化粧再生を紹介いたします。
          特に、前期型の内部(インテーク・マニホールド)は、オイルとカーボンの
          付着汚れが酷い状態に有ります。

        注:ここで言う"インテーク・マニホールド(略・インマニ)"は、メーカーの整備書
          では、"コレクターASSY"との名称になっています。
          



写真1 : まずは、専用の車体カバー(Z32用)で、フェンダー、バンパー
      などの、塗装面を養生いたします。

      この車体カバーの裏面は起毛(フェルト)になっています。
      (弊社にはこうした専用車体カバーが数台分準備してあります。)  

      今回の要請では、クーラーコンデンサーの交換もあり、前回に
      社外品のラジエター(日本の同等品)を使用していたので、とて
      も綺麗でした。
    

写真2 :  タイベルカバーのボルトの傷みは、すべて酷い状態でした。
       その他のウォーターポンプなどは、未だ十分に使用できる状
       態でしたが、4本のカムの前オイルシールより、オイル漏れ。

       カムカバーからも、漏れが発生していました。
       タイベルも脱着するので、この際にタイベル交換もしました。
       
       カムカバーを外すので、インテーク・マニホールドを外します。
       何故、マニホールド内部にオイルが溜まるのでしょうか。



写真3 :  写真2は、4個のカムの前に付いているカムスプロケット
       の裏側より、オイルが漏れて下のクランクプーリーまで垂れ
       てきていました。

       前回のカムカバーオイル漏れでは、ここのオイルシールは
       交換していませんでした。
       タイベル交換時にも可能な作業ですが、別費用となります。

       別のページにも書きましたが、カムスプロケットを外すため
       には、カムカバーを外す必要が有ります。
       無理に外そうと思えば可能ですが、的確な締め付けトルク
       が計測出来ませんので、いたしません。


写真4 : さて、インマニ内部に溜まる、オイルはどこから来るのか?

       写真3では、やや話が先に行ってしまいましたが、カムカバ
       ーのオイル漏れを修理するには、上に乗っているこのインマ
       ニAssyを外す必要があります。

       内部に溜まるオイルは、ブローバイガスとして侵入します。
       ブローバイガスとは、エンジンオイルが過熱して発生する、
       オイルの蒸気のことです。


       法規上、ブローバイガスを大気に放出する事は禁止です。
       当然、エンジンオイルが過熱される以上、このガスは発生
       するので、L型エンジンの時代より同じ仕組みです。

      
       きれいな空気を取り入れ、ガソリンと混合させて圧縮爆発
       するのが、ガソリンエンジンの仕組みですが、この綺麗な
       空気にブローバイガスを混入させ、ガソリン・爆発をする。

       そのブローバイガスが液体化して、インマニ内に滞留いた
       します。 ブローバイガスは汚れです。

       しかも、前期型のZ32はEGRシステムと言う、排気ガスの
       一部を同じ、インマニ内部に還流させている、仕組みがあり
       ます。 要はカーボン(スス)です。

       とても綺麗な空気をシリンダー内部へ入れると言うことでは
       ありませんね。
(理由は割愛いたします。)


写真5 : 左上の画像は、インジェクターのホルダーです。
       インマニのすぐ真下部で、各シリンダーへ空気が配分され、イン
       ジェクターから噴出されるガソリンと混合されます。

       そのインマニを外した直後ですが、エンジンオイルの付着を見る
       ことが出来ます。 (左下はインマニの裏側。)

       下の画像は、前期型に採用されているEGRのダイヤフラムと、
       そのパイプ(左右に有り)が、インマニの裏側に入って行きます。


写真6 : それでは、インマニを洗浄いたしましょう。
       基本的には、インマニの付属パーツを全外ししますが、時とし
       てそのままでも洗浄は、可能です。
       
       汚れの具合や費用面で、全分解の選考をいたします。
       インマニの内部は、目視確認をしますが、洗浄剤には主にブレ
       ーキクリーナー(高性能製品を採用)を使用しています。

       その他、エンジンクリーナー剤も使用します。 内部はカーボン
       が固着しているインマニも有るので、強力な洗剤が必要です。


写真7 : 画像では、ターボ車とNA車のインマニが写っています。

       全分解と、部分分解の2種類を提示してみました。
       マスキングの手間は、部分分解の方が大変です。

       費用面で余裕が有れば、インジェクターホルダーも分解洗浄
       を推奨いたします。


写真8 :  インマニには、車体塗料を採用しています。
       下処理には表面の脱脂後、密着剤を塗布してから、加熱乾燥。

       シルバー(細目)の原色に、ブラック色とオーカー色を調合して、
       アルミの地金色を再現しています。

       仕上げには、UVコートのクリアー塗料を通常の3倍ぐらい、塗布
       して、表面の平滑性を高めています。

Z32 インテーク・マニホールドの塗装
Z32 インテーク・マニホールドの塗装
Z32 インテーク・マニホールドの塗装 Z32 インテーク・マニホールドの塗装

写真9 :  こうした再生・化粧方法は他にも有ります。

       表面の砂肌を研磨して、ポリッシュの光沢を出したり、高価な
       クロームメッキを施したりする、手法です。

       その他、ブラックのマット塗装にしたり、結晶塗装(各色有り)など
       エンジンルーム内の、新鮮な演出も可能です。

       海外の参考画像も交えて、ご紹介をしてみました。

         ・・・・・・ 閲覧をありがとうございました。・・・・

Z32 インテーク・マニホールドの塗装