トラブル・シューティング <Q9>

 <症状> ・・・ Z32のダッシュボード・前側のデフロスター出口付近の浮き上がりを、
          修理とする補修要領を解説・公開いたしました。

 <解説> ・・・ Z32は経年の劣化で、表面の素材が収縮してしまい、前側が浮き上がって
          剥離現象を起こしてしまう。 このダッシュボード以外にも有りますが。
          今回は、高価なダッシュボードを交換するのではなく、修理をいたします。
          
          Z32のダッシュマットを購入された方へは、この修理要項を渡していますが、
          今回ここで新しく、最新情報を公開することにいたしました。

          


Z32のダッシュボードの修理要領 写真1 : ダッシュボードを上側から見た状況です。
      この状態では、何も説明はいらないでしょう。
      この車両は、91年の北米車です。走行は約10万kmで、
      日本には10年ほど前に輸入されたようです。
      状態は、最悪ですね。日本車でも同様の状態になっている
      同じような車両が5〜6年前から、多く見受けられましたね。

      まずは、デフロ部のフィニッシャーを外します。スティール製
      のスプリングで固定してあります。
      その後、浮いた部分の内側を掃除します。剥がれたスポンジ
      状の素材を除去します。
Z32のダッシュボードの修理要領   Z32のダッシュボードの修理要領  Z32のダッシュボードの修理要領
Z32のダッシュボードの修理要領


写真2 : 残念ながら、取り外したフニッシャーの画像が有りませんが
       浮き上がった内側が良く確認出来ました。

       上の右側と、下の左側の画像です。剥離した部分は、粉状
       になったクッションのスポンジが堆積しています。当社では、
       高圧のエアーで吹き飛ばして、除去しています。
       ここの作業を確実に出来るかで、今後の接着と耐久性に
       影響を与えます。


Z32のダッシュボードの修理要領


写真3 : 吹き出し口の周囲をマスキングします。作業中に接着剤が
      付かないようにです。 


       画像では、メーター部のカバーを外しています。作業性が
      良くなるように、邪魔なパーツは、外しましょう。


Z32のダッシュボードの修理要領 写真4 : 周囲をマスキングしたら、新聞紙やラップテープなどで再度
       その全体を覆います。 これは、作業中に接着剤を周囲へ
       落とした時の用心のためです。

       ここに、エポキシ系の2液混合式の遅緩硬化型の接着剤
       を流し込みます。
       作業は車内側からとなるので、浮き上がりのポイントとなる
       部分にテープで記しを付けます。 画像では、ウインドー
       ガラスにテープを貼り付けました。又は、鏡をウインドガラス
        の前に置いて、接着剤を流し込む部分を見ながら作業を
       しても良いでしょう。(以前したことが有りました)

Z32のダッシュボードの修理要領 Z32のダッシュボードの修理要領 Z32のダッシュボードの修理要領

Z32のダッシュボードの修理要領 写真5 : 画像は、接着剤をへら等で塗り込んだ直後の画像です。
       硬化が進んでしまうので、作業は手早く行います。
       10〜15分で完了してください。
       
写真6 :当社では、木片を利用して浮いたダッシュの上から押さえ
       込んでいます。40cmほどの2本の木片を用意しました。
       この木片を確実に押さえる為、ウインドーガラスを利用して
       くさび状にカットした、発砲スチロールを作り、これで押さえ
       るように、ガラスとの間へ入れました。
       下記の画像では、同時期に行われた2台のZ32を採用
       しています。  
       
Z32のダッシュボードの修理要領
Z32のダッシュボードの修理要領 Z32のダッシュボードの修理要領

Z32のダッシュボードの修理要領 写真7 : 硬化まで、約4〜5時間を要します。
       その後、マスキングテープ等を剥がして接着を確認します。
       画像の2台のZ32は、北米仕様と日本仕様の2台です。
       
       赤い北米仕様は、平成21年3月5日に室内作業をしました。
       青い色のダッシュは、日本仕様で同時期の平成21年3月7日
       に、屋外で作業をしました。
Z32のダッシュボードの修理要領 Z32のダッシュボードの修理要領 Z32のダッシュボードの修理要領

Z32のダッシュボードの修理要領
写真8 : 多く付いてしまった接着剤は、カッターなどで切削してください。
       今回使用したエポキシの接着剤は、白くなったので黒色の
       マジックインクで黒く塗りました。

       画像でも良く接着が出来ているのが確認できます。
       その後、元のフニッシャーを取り付けて完了します。
       
Z32のダッシュボードの修理要領 写真9 :完成画像です。 浮き上がりが見られません。
      もう、数十台のこの修理をしてきましたが、再発はその後、見た
      ことが有りません。たぶん完璧な修理が出来たと思います。
      再発予防の意味でも、ダッシュマットの併用を推奨いたします。

    ダッシュマットページは、こちらに有りますのでどうぞご検討ください。

    http://www.datsun-freeway.com/products/z32_dasy001.html  



                         (平成21年3月記:Hiro)